ボツリヌス治療

ボツリヌストキシン注射とは

ボツリヌストキシン注射とは

ボツリヌストキシン注射は、ボツリヌス菌が産生する毒素を、症状が現れている筋肉に注射することで、その筋肉を麻痺させる治療方法です。「毒素」という言葉を聞くと不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、この治療法で使用する量は非常に少量のため、全身に副作用をもたらすことはまずありません。

歯科領域では、主に咬筋(頬の筋肉)や側頭筋などの咀嚼筋に注射することで、歯ぎしりや食いしばり、顎関節症などの症状改善を図ります。効果は大体2〜3ヶ月持続するため、症状緩和の継続には一定期間ごとに注射を行う必要があります。

近年、歯科領域におけるボツリヌストキシン注射の有効性が注目されており、従来の治療法では改善が困難だった症状に対する新たな選択肢として期待されています。

ボツリヌストキシン注射の
適応症と効果

歯ぎしり・食いしばりの改善

現代人の大半は何らかの形で歯ぎしりをしていると言われています。睡眠時の無意識な歯ぎしりや、日中の集中時における食いしばりは、歯や顎に過度な負担をかけます。ボツリヌストキシン注射により咬筋や側頭筋の緊張を緩和することで、これらの症状を効果的に改善できます。

過度な咬合力は、歯の破折やすり減り、噛み合わせの悪化を引き起こすだけでなく、顎関節や周囲の筋肉にも大きなストレスを与えます。ボツリヌストキシン注射による筋肉の弛緩は、これらの問題を根本から解決する効果的な手段です。

顎関節症の改善

顎関節症は、顎関節や咀嚼筋の痛み、顎関節の雑音、開口障害などを主な症状とする疾患です。従来の治療法としてマウスピース療法や理学療法が行われていますが、重症例や難治例では十分な効果が得られない場合があります。

ボツリヌストキシン注射は、緊張した咀嚼筋を直接的に弛緩させることができるため、顎関節症の症状改善に高い効果を発揮します。特に筋肉の緊張が主因となっている症例では、劇的な改善を期待できます。

発達した咬筋・側頭筋の弛緩
(小顔効果)

長期間の歯ぎしりや食いしばりにより、咬筋や側頭筋が発達しすぎてしまった場合、顔の輪郭が角ばって見えることがあります。ボツリヌストキシン注射により、これらの筋肉を適度に弛緩させることで、より自然で美しい顔の輪郭を取り戻すことができます。

いわゆる「小顔効果」として知られるこの作用は、機能的な改善と審美的な改善を同時に得られるという大きなメリットがあります。

その他の効果

歯周病治療における原因除去

歯ぎしりが原因で歯周病が悪化している場合、ボツリヌストキシン注射により過度な咬合力を軽減することで、歯周病治療の効果を高めることができます。

オトガイ(顎の梅干しジワ)の改善

下顎の先端部分にできる細かなシワ(梅干しジワ)は、オトガイ筋の過度な緊張が原因です。ボツリヌストキシン注射により、この筋肉を弛緩させることで、シワの改善が期待できます。

ガミースマイルの改善

笑った時に歯茎が大きく見える「ガミースマイル」に対しても、適切な部位への注射により改善効果が得られる場合があります。

花粉症・口呼吸の緩和

鼻炎症状による口呼吸や、それに伴う口周りの筋肉の緊張に対しても、ボツリヌストキシン注射が効果的な場合があります。

治療の流れと特徴

治療の流れと特徴

効果の持続期間

効果の持続力には個人差がありますが、一般的に4〜6ヶ月が目安となります。永続的な効果があるわけではないため、定期的に治療を行うことで効果の持続と改善がより顕著になります。また、継続的な治療により、効果の持続時間が長くなっていく傾向も見られます。

治療のスケジュール

対症療法の性質上、年に約2回程度を継続的に行うことで効果が長続きします。定期的な治療により、現在の症状を歯科医師にお伝えいただきながら、どの程度継続するべきかを話し合うことが重要です。

ただし、他院での治療歴がある場合は、過剰な投与を避けるため必ず申告していただく必要があります。適切な間隔と用量での治療が、安全で効果的な結果をもたらします。

副作用と注意事項

一般的な副作用

注射による投与のため、注射部位の腫れ、内出血、疼痛などが生じる場合があります。しかし、これらの症状はほとんどが一時的なもので、時間の経過とともに自然に消失します。

ボツリヌストキシン注射を投与した最初の1週間は、顎が重い、だるいなどの症状を感じることがありますが、これも時間経過とともに自然に改善します。

治療を受けられない方

妊娠中、または妊娠の可能性がある方、妊娠をお考えの方は治療を受けることができません。治療を検討される際は、必ず現在の状況をお知らせください。

治療のメリット・デメリット

メリット

  • 非侵襲的な治療法で、歯を削ったり外科的処置を行ったりする必要がない
  • 効果が比較的早く現れる(通常1~2週間以内)
  • 症状に応じて投与量を調整できる
  • 従来の治療法で改善が困難だった症状にも効果が期待できる

デメリット

  • 効果は一時的で、継続的な治療が必要
  • 個人差があり、期待した効果が得られない場合もある
  • 注射による軽微な副作用の可能性

当院での治療体制

当院では、経験豊富な歯科医師が患者様一人ひとりの症状を詳しく評価し、最適な治療計画を立案いたします。ボツリヌストキシン注射は高度な技術と豊富な経験が要求される治療法ですが、当院では安全で効果的な治療を提供できる体制を整えております。

治療前には詳細なカウンセリングを行い、患者様のご希望や不安にも丁寧にお答えいたします。また、治療後のフォローアップも重視し、効果の確認や必要に応じた調整を行っています。

歯ぎしりや食いしばり、顎関節症でお悩みの方、従来の治療法では改善が見られなかった方は、ぜひ一度ご相談ください。新たな治療選択肢として、ボツリヌストキシン注射が皆様のお悩み解決の一助となることを願っております。

Treatment

空き状況によっては当日のご予約も可能です