予防歯科

予防歯科について

予防歯科について

予防歯科とは、虫歯や歯周病になってから治療するのではなく、これらの疾患を未然に防ぐことを目的とした歯科医療です。「治療よりも予防」という考え方のもと、患者様の大切な天然歯を生涯にわたって維持することを目標としています。

従来の歯科医療は「痛くなったら治療する」という対症療法が中心でしたが、現在では「病気にならないように予防する」という予防医学の考え方が主流となっています。定期的なメンテナンスにより、虫歯や歯周病の発症を防ぎ、早期発見・早期治療を行うことで、患者様の口腔健康を長期間維持することが可能になります。

予防歯科の重要性

歯科疾患は一度発症すると元の健康な状態に完全に戻すことは困難です。特に歯周病により失われた歯槽骨や、虫歯により削られた歯質は基本的に再生しません。そのため、疾患を未然に防ぐ予防歯科は、口腔健康維持において最も重要な役割を担っています。

また、口腔疾患は全身の健康にも大きな影響を与えます。歯周病は糖尿病、心疾患、脳血管疾患、誤嚥性肺炎などとの関連が指摘されており、口腔健康の維持は全身の健康維持にも直結しています。

  

予防歯科のエビデンス

世界的な研究データ

スウェーデン・イエテボリ大学のアクセルソン教授による30年にわたる臨床研究では、定期メンテナンスの驚くべき効果が証明されています。この研究により、「定期メンテナンスによって97.7%もの歯を守ることができる」という事実が明らかになりました。

さらに詳細な研究結果として、定期メンテナンスを受け続けた人とそうでない人の虫歯発生率には大きな差が生じることが判明しています。4年間で約15倍、6年間では70倍もの差が生じ、定期メンテナンスを受け続けた人の30年後の残存歯数は、全ての年代を含めて平均0.6本しか喪失していませんでした。

日本における予防歯科の現状

残念ながら日本の予防歯科に対する意識は、まだ欧米先進国に比べて低い状況にあります。定期検診受診率は欧米諸国が70-90%であるのに対し、日本は約50%にとどまっています。しかし、近年は予防歯科の重要性が広く認知され、定期的なメンテナンスを受ける患者様が増加傾向にあります。

当院の予防歯科の特徴

1.患者様一人ひとりに合わせた
オーダーメイドの予防プログラム

患者様一人ひとりの口腔内状況は異なるため、それぞれに適したオーダーメイドの予防歯科プログラムを提案しています。着色が気になる方、歯石の蓄積が多い方、正しい磨き方を知りたい方など、人によってニーズは様々です。患者様のご希望やライフスタイルに応じて、最適な予防プランを立案いたします。

2.専門的な口腔ケア指導

歯科衛生士による専門的なブラッシング指導を行います。患者様の歯並びや口腔内の特徴に合わせた効果的な清掃方法をお教えし、フロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具の正しい使用方法もご指導いたします。

3.定期的なメンテナンススケジュール

患者様の口腔内の汚れ具合や清掃状態によって、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月と最適なメンテナンス間隔を設定します。担当歯科衛生士と相談の上、患者様に最適なスケジュールを決定いたします。

予防歯科の内容

プロフェッショナルケア
(歯科医院で行う処置)

プロフェッショナルケア(歯科医院で行う処置)

PMTC
(Professional Mechanical Tooth Cleaning)

専用の器具と研磨材を使用して、歯の表面に付着したバイオフィルム(細菌の膜)を除去する処置です。普段の歯磨きでは除去できない汚れを徹底的に清掃し、歯面を滑らかに仕上げます。

PMTCの効果
  • 虫歯・歯周病の予防
  • 着色の除去
  • 口臭の改善
  • 歯肉炎の改善
  • 歯面の滑沢化

スケーリング・ルートプレーニング

歯石は歯面に強固に付着し、通常のブラッシングでは除去できません。超音波スケーラーやハンドスケーラーを使用して歯石を除去し、歯根面を滑らかに仕上げます。

フッ素塗布

高濃度のフッ素を歯面に塗布することで、歯質を強化し虫歯予防効果を高めます。フッ素には以下の3つの効果があります。

  1. 再石灰化の促進 フッ素は歯の表面から溶け出したミネラル分を歯に戻す「再石灰化」を促進します。初期段階の虫歯であれば、フッ素の働きにより修復できる可能性があります。
  2. 歯質の強化 フッ素がエナメル質に取り込まれることで、酸に溶けにくい強固な結晶構造(フルオロアパタイト)に変化します。これにより歯質が強化され、虫歯に対する抵抗力が大幅に向上します。
  3. 酸産生の抑制 フッ素は虫歯菌の代謝活動を阻害し、酸を作り出す働きを抑制します。これにより歯が溶けにくい口腔環境を維持し、虫歯の発生・進行を予防します。

永久歯での虫歯予防効果は20-30%、乳歯では40-50%の予防効果があると報告されています。

口腔内検査・診断

定期的な口腔内検査により、虫歯や歯周病の早期発見を行います。レントゲン検査、歯周ポケット検査、口腔内写真撮影などを通じて、口腔内の変化を詳細に記録し、適切な治療計画を立案します。

セルフケア
(ご自宅で行う処置)

セルフケア(ご自宅で行う処置)

正しいブラッシング方法

効果的な虫歯・歯周病予防のためには、正しいブラッシング方法の習得が不可欠です。患者様の歯並びや口腔内の状況に応じて、最適なブラッシング方法をご指導いたします。

基本的なブラッシングのポイント
  • 歯ブラシの毛先を歯面に対して45度の角度で当てる
  • 軽い力で小刻みに動かす(150-200g程度の力)
  • 1本1本丁寧に磨く
  • 歯と歯茎の境目を重点的に清掃する
  • 最低3分間は磨く

補助清掃用具の使用

歯ブラシだけでは除去できない歯間部の汚れを除去するため、以下の補助清掃用具の使用をお勧めします。

デンタルフロス

歯と歯の接触点周辺の汚れを効果的に除去します。初心者の方には持ち手付きのフロスピックがお勧めです。

歯間ブラシ

歯間の隙間が大きい部位に適用します。サイズ選択が重要で、無理に大きなサイズを使用すると歯茎を傷つける可能性があります。

ワンタフトブラシ

通常の歯ブラシでは届きにくい部位(親知らずの周囲、矯正装置周辺など)の清掃に有効です。

口腔洗浄剤(マウスウォッシュ)の使用

ブラッシング後の仕上げとして、殺菌効果のあるマウスウォッシュの使用をお勧めします。ただし、マウスウォッシュは補助的な役割であり、基本的な機械的清掃(ブラッシング・フロス)の代用にはなりません。

年代別予防歯科のポイント

乳幼児期(0-6歳)

この時期は乳歯の虫歯予防と正しい生活習慣の確立が重要です。

予防のポイント

  • 哺乳瓶の長期使用を避ける
  • 甘い飲み物の頻繁な摂取を控える
  • フッ素塗布を定期的に行う
  • 保護者による仕上げ磨きの徹底
乳幼児期(0-6歳)

学童期(7-12歳)

永久歯への生え変わり時期で、特に注意深い管理が必要です。

予防のポイント

  • 生えたての永久歯のフッ素塗布
  • 奥歯の溝の封鎖(シーラント)
  • 正しいブラッシング方法の習得
  • 定期的な歯科検診

シーラントについて

シーラントとは、奥歯の深い溝を樹脂で封鎖し、虫歯を予防する処置です。歯を削ることなく行える予防処置で、適応年齢は歯科的処置ができれば何歳でも可能です。シーラント材にはフッ素が含まれており、徐々に歯に浸透することで虫歯予防効果がさらに高まります。

学童期(7-12歳)

成人期(20-64歳)

虫歯と歯周病の両方に注意が必要な時期です。

予防のポイント

  • 歯周病予防を重視したケア
  • ストレス管理と生活習慣の改善
  • 定期的な歯石除去
  • 喫煙者は禁煙指導
成人期(20-64歳)

高齢期(65歳以上)

加齢に伴う口腔内の変化に対応した予防が必要です。

予防のポイント

  • 唾液分泌量減少への対応
  • 根面虫歯の予防
  • 義歯のケア
  • 誤嚥性肺炎の予防
高齢期(65歳以上)

生活習慣と予防歯科

生活習慣と予防歯科

食生活の改善

虫歯・歯周病予防において、食生活の改善は非常に重要です。

虫歯予防のための食生活

  • 砂糖の摂取量を制限する
  • だらだら食いを避ける
  • 食後30分以内の歯磨きを心がける
  • キシリトールなどの代用甘味料の活用

歯周病予防のための食生活

  • ビタミンC、ビタミンB群の積極的摂取
  • 抗酸化作用のある食品の摂取
  • バランスの取れた栄養摂取
  • 十分な水分補給

生活習慣の改善

禁煙

喫煙は歯周病の最大のリスクファクターです。禁煙により歯周病のリスクが大幅に軽減されます。

ストレス管理

慢性的なストレスは免疫力を低下させ、歯周病の進行を促進します。適度な運動や十分な睡眠によるストレス管理が重要です。

規則正しい生活

不規則な生活は口腔内環境の悪化を招きます。規則正しい生活習慣の確立が予防歯科の基盤となります。

メンテナンスの流れ

メンテナンスの流れ
  1. 口腔内検査 現在の口腔内状況を詳しく確認し、前回のメンテナンス時からの変化をチェックします。虫歯の有無、歯周ポケットの深さ、プラークの付着状況などを評価します。
  2. プラークコントロールの確認 患者様の日常的な口腔ケアの状況を確認し、磨き残しが多い部位や清掃方法について指導を行います。必要に応じて新しい清掃用具のご提案や使用方法の再指導を行います。
  3. 専門的機械的歯面清掃(PMTC) 専用の器具を使用して、歯面に付着したバイオフィルムや着色を除去します。歯間部や歯頸部など、患者様の日常ケアでは清掃困難な部位を重点的に清掃します。
  4. 歯石除去 新たに形成された歯石を除去し、歯面を滑らかに仕上げます。歯茎の状況により、必要に応じて歯茎下の歯石除去も行います。
  5. フッ素塗布 歯質強化と虫歯予防を目的として、高濃度フッ素を塗布します。
  6. 次回予約とケア指導 患者様の口腔内状況に応じて、次回のメンテナンス間隔を決定します。また、日常ケアのアドバイスや注意点をお伝えします。

予防歯科のよくある質問

メンテナンスの頻度はどのくらいが適切ですか?
患者様の口腔内状況により異なりますが、一般的には3-6ヶ月間隔が推奨されます。歯周病のリスクが高い方や過去に歯周病治療を受けた方は、より短い間隔(1-3ヶ月)でのメンテナンスが必要な場合があります。
予防歯科は本当に効果がありますか?
科学的エビデンスにより、定期的なメンテナンスの効果は実証されています。前述のアクセルソン教授の研究をはじめ、多くの研究で予防歯科の有効性が確認されています。
毎日きちんと歯磨きをしていれば、
メンテナンスは不要ですか?
日常的な口腔ケアは非常に重要ですが、どんなに丁寧に行っても除去できない汚れや歯石が存在します。また、初期の虫歯や歯周病は自覚症状がないため、専門的なチェックが不可欠です。
子どもの予防歯科はいつから始めればよいですか?
歯が生え始めた時期(生後6ヶ月頃)から予防歯科を開始することをお勧めします。フッ素塗布は1歳頃から可能で、早期からの予防習慣の確立が重要です。
予防歯科は、患者様の生涯にわたる口腔健康維持のための最も重要な取り組みです。当院では、患者様一人ひとりのニーズに応じたオーダーメイドの予防プログラムをご提供し、皆様の健康で美しい笑顔をサポートいたします。お口の健康について気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。

Treatment

空き状況によっては当日のご予約も可能です